トゥーノーイシデショウ内プロジェクト
芸術祭の「その後」を引き受ける、実践的倉庫。
ロゴ:佐藤 直樹
「諦め」を、
「可能性」へ。
「どうせ、この町は。」
地方に蔓延するそんな閉塞感を、アートの力で突き破りたい。
プロジェクト名「OPPES(オッペス)」は、この地域の言葉で「押す」を意味します。ここは、単なる美術館ではありません。現代アート界が抱える「作品の廃棄問題」と「東京一極集中」への、実践的なアンチテーゼです。
2020年、ある一つの約束から始まった「倉庫美術館構想」。行き場を失いかけた魂(作品)を廃校で守り、プロの技術を地元の職人へ継承し、地域の子どもたちに「見たことのない景色」を見せる。アートが地域の背中を「おっぺす(押す)」場所です。
Concept
なぜ、「倉庫」なのか?
芸術祭の「その後」を引き受ける3つの機能
01
PROTECT:守る
芸術祭終了後、保管場所やコストの問題で廃棄されてしまう大型作品やインスタレーション。OPPESはこれらを無償で引き受け、地域での展示権と引き換えに物理的に保護する「シェルター」となります。
02
INHERIT:継ぐ
アート作品の設置には高度な専門技術が必要です。OPPESでは、プロのインストーラーが地元の工務店・職人へ直接指導を行い、設置技術を地域へ移転(トランスファー)。「アートを扱える職人」を地域に育てています。
03
CREATE:創る
ここは静的な収蔵庫ではありません。作品はここで次の出番を待ちながら、地域の子どもたちの教材となり、新たな文脈を纏います。廃校を「生きたバックヤード」として開放し、再び世界へ送り出す循環拠点です。
Members
異色の布陣が集結。
領域を超えた3つの視点
Origin / Art Director
佐藤 直樹
Naoki Sato
多摩美術大学教授 / アーティスト
OPPESの「原点」。『東京ビエンナーレ』や『アーツ千代田3331』のデザインを手掛けるなど、都市とアートの関係性を問い続けてきた。2020年、自身の300m超の大作『そこで生えている。』をこの廃校に預けたことから構想がスタート。ロゴの筆文字が示す通り、根源的で力強いエネルギー(気)を場に定着させる。
Philosophy / Advisor
津村 耕佑
Kosuke Tsumura
武蔵野美術大学教授 / ファッションデザイナー
都市型サバイバルウェア「FINAL HOME」で世界的に知られるデザイナー。衣服を「究極の家(シェルター)」と捉えるその哲学は、災害と再生、そして作品を保護する「倉庫美術館」というプロジェクトの精神的支柱となっている。
Local / Director
水野 俊紀
Toshiki Mizuno
アーティスト(Chim↑Pom from Smappa!Group)
社会課題へのラディカルな介入で知られるアーティスト集団のメンバー。パートナー(久保寛子)の作品保管場所を探す中で東庄町と出会い、隣町(旭市)へ移住。東京のアート文脈とローカルの現場を繋ぐ「結節点」としてプロジェクトを牽引する。
Artists
時代を象徴する才能が、廃校に交差する。
OPPESが作品をお預かりしているアーティストです。
Sculptor
久保 寛子
Hiroko Kubo
ブルーシート、鉄骨、コンクリートブロック。現代社会の「労働」や「災害」、そして「復興」の現場で使われる工業素材を用いて、古代の偶像や神話を想起させる巨大彫刻を出現させる。農業用ハウスや資材が並ぶ東庄町の風景と共振し、土着の守り神のような圧倒的な存在感を放つ。
Media Artist
市原 えつこ
Etsuko Ichihara
日本特有の土着信仰や民間伝承と、最先端テクノロジーを融合させる「デジタル・シャーマニズム」を提唱。《未来SUSHI》や《サーバー神輿》など、ユーモアと批評性が入り混じる作品群で、祭りと神事のアップデートを試みる。
Hair & Makeup Artist
YOUCA
Youca
現代ポップカルチャーの最前線で、アイコンとなるビジュアルを作り続けてきたトップクリエイター。その色彩感覚と造形力は、ラフォーレ原宿で開催された「PEEP展」のインスタレーションでも発揮された。
Graphic Artist
伊藤 桂司
Keiji Ito
90年代以降の音楽・デザインシーンを牽引し、数多のレコードジャケットや広告を手掛けてきたレジェンド。古今のイメージを断片化し、再接続(リミックス)するそのコラージュ作品は、記憶の集積地である「廃校」という場所そのものをメタファーとして浮き彫りにする。
Painter / Video Artist
石田 尚志
Takashi Ishida
描いては撮影し、また描く。「ドローイング・アニメーション」という手法で、絵画が生成される「時間」そのものを映像化する。
Painter
OJUN
Ojun
鉛筆、クレヨン、油彩。様々な画材を用い、独特の筆致と余白で「描けないもの」を描き出そうとする現代絵画の異才。不穏さとユーモアが同居するその作品世界は、予定調和な地域アートとは一線を画す、心地よい違和感を空間にもたらす。
Sculptor
松村 要二
Yoji Matsumura
OPPESの活動初期から、その「倉庫」機能を物理的・精神的両面で支え続けてきた彫刻家。素材との対話から生まれるその造形物は、この場所が単なる保管場所ではなく、常に創造が行われている「スタジオ」であることを無言のうちに証明している。
Artist
沼田 侑香
Yuka Numata
1992年千葉県生まれ。ウィーン美術アカデミーへの留学を経て、2022年に東京藝術大学大学院を修了。アイロンビーズという子どものおもちゃを素材に、デジタル上で見られるイメージの崩れをアナログで立ち上げ、二次元でも三次元でもない表現を展開する。
Painter / Writer
坂口 恭平
Kyohei Sakaguchi
1978年熊本県生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。路上生活者の住まいを記録した写真集『0円ハウス』(2004)を皮切りに、作家・画家・音楽家として領域を横断して制作を続ける。
Painter
長井 朋子
Tomoko Nagai
1982年愛知県生まれ。2006年愛知県立芸術大学卒業。東京を拠点に制作。ぬいぐるみや人形、動物、草花、布のはぎれの柄など、幼い頃から親しんできたモチーフが伸びやかに共存する、夢と現実が交差する世界を描く。
Artist
中村 政人
Masato Nakamura
1963年秋田県大館市生まれ。東京藝術大学絵画科教授。2001年の第49回ヴェネツィア・ビエンナーレ日本館に出品。2010年にアーツ千代田 3331を創設し、2020年から「東京ビエンナーレ」の総合ディレクターを務める。
Photographer
石毛 圭子
Keiko Ishige
1972年東庄町生まれ。1996年に渡英し、英語と写真の暗室技術を学ぶ。帰国後は都内の現像所や印刷会社で働き、2006年に東庄町へ戻る。実家の和菓子店に携わりながら写真の活動を続け、2008年からは日本画家の大八木 玲子とともに「RK本店」として都内で二人展を重ねる。同じ頃、ジャムのオリジナルブランド「Flexieのジャム」を立ち上げた。2022年からは旧石出小のカフェ「キッサテンホケンシツ」で木曜日のオーナーを務める。
Athlete
山田 拓朗
やまだ たくろう / パラ水泳
リオデジャネイロ・パラリンピック 50m自由形 銅メダリスト。山田選手のメダルラックをお預かりし、展示しています。
このほかにお預かりしている作品
浅川 英朗
写真
大八木 玲子
日本画
OPPESでの活動
作品展示のほか、多様な学びと交流の機会を創出しています。
地域教育との連携
地元の小中学生の見学やアート鑑賞の場として、本物のアートに触れ、創造性を育む機会を提供しています。
アーティスト・イン・レジデンス
アーティストが滞在し、この場所でしか生まれない作品を制作。地域に新たな文化が生まれる瞬間に立ち会えます。
2026年8月末から、アーティストの森 椋平さんの滞在制作が始まっています。旧石出小学校の空き教室をスタジオにして、制作を続けています。
ワークショップ・講座
アーティストや専門家による、子どもから大人まで楽しめるワークショップを不定期で開催しています。